【銀行員】銀行の子会社いじめはあり得ない!?

元銀行員です。
ドラマ半沢直樹は、親会社である銀行が子会社の証券会社をいじめる(敵対する)というストーリーです。
だが、ここに断言します。

銀行が子会社と敵対することは絶対にあり得ません!

何故かって?
それはこの記事を読めばわかります。

目次

銀行にはどんな子会社があるの?

サラリーマン

そもそも銀行にはどんな子会社があるの?

金融マン

下のような子会社があるのが一般的です。
 ・証券会社
 ・信託会社
 ・リース会社
 ・カード会社

サラリーマン

他にもあるの?

金融マン

はい。
出資比率は低いけど、実質的に支配している関連会社まで含めると無数にあります。
上の4社については、銀行グループの中核をになう会社になります。

サラリーマン

中核と言っても、半沢のように左遷なんでしょ?

金融マン

いやいや。
中核子会社へ出向なんて左遷ではないです。
詳しくは下の記事を読んでください。

企業買収における銀行と証券会社の役割

まず、ドラマ半沢直樹に出てくる「企業買収」での銀行と証券会社の役割について簡単に説明しておきます。

<企業買収における銀行の役割>
銀行は、会社を売りたいオーナーと会社を買収したい企業とをマッチングさせます。
そして、企業買収のストラクチャー(誰がいくらお金を出して誰がどんなリスクを負うのかを整理)を提案します。
これが収益源①のアドバイザリー業務です。
そして、実際の買収フェーズに入ると、買収資金の一部を融資というかたちで資金提供します。
これが収益源②のファイナンス業務です。

<企業買収における証券会社の役割>
証券会社も、会社を売りたいオーナーと会社を買収したい企業とをマッチングさせます。
そして、企業買収のストラクチャーを提案します。ここで、銀行は融資することを前提にストラクチャーを提案しがちですが、証券会社であれば社債の発行等、様々な手法を駆使した提案をすることが多いです。
で、これが収益源①のアドバイザリー業務です。ここまでは銀行と大差ないです。
そして、実際の買収フェーズに入ると、買収資金の一部を社債発行等で調達することがあるのですが、その際の引受業務や媒介業務を執り行います。
これが収益源②の証券業務です。要するに融資で調達するか証券発行で調達するのかの違いです。

【引受業務とは】
引受けを行うことを目的として発行者に対して募集又は売出しの提案を行い、当該引受けの条件の検討及び有価証券の元引受契約の締結に係る実務を遂行する業務のこと。

引用元:日本証券業協会

こうして見ると、業務がバッティングして敵対してもおかしくないように思えますよね?
でも絶対に敵対しないのです。その理由を次に説明します。

銀行が子会社と敵対しない理由

日本の場合、超低金利が続いています。また、金余りが起きている現状もあります。
このような状況下、銀行の「融資」というもの自体が儲からないビジネスになってしまっているのです。

実際に地銀の多くは経営が困難になってきている状況です。
そこで、メガバンク等の子会社・関連会社がある銀行グループは、銀行本体の収益ではなく子会社・関連会社の収益ウェイトを高めざるを得ない状態に追い詰められています。

つまりは、子会社・関連会社と敵対している場合ではないのです。
彼らに頑張ってもらわなければならないのです。

実際に、水色のメガバンクのスローガンは「One み〇ほ」ですし、緑色のメガバンクでもグループ間連携が盛んに叫ばれているようです。
そして、銀行の最大の強みである顧客基盤(顧客の多さ)を使って子会社・関連会社の収益を伸ばそうとしています。

上の半沢直樹の例で見ると、銀行の融資を活用して企業買収する場合と証券会社の機能を活用して企業買収する場合を比べると、後者の方が収益性が高いのです。
つまり、銀行本体で動く必然性がないということです。
銀行からすれば、顧客を紹介するので後は証券会社さん頑張ってください!が最適なのです。

まとめ

いかがでしょう?

そもそも100%子会社との間で収益を奪い合うことが無意味です。
さらに、その子会社で手掛けたほうが収益性が高いのに、わざわざ収益性の低い親会社が敵対して仕事を奪う必要があるでしょうか?

日本の金融マーケットの状況から鑑みても、銀行が子会社と敵対することが絶対にあり得ないことがお分かりいただけたかと思います。

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